【淡い恋】
青い空。
白い雲。
微かにそよぐ風。
白い雲がゆったりと空をかけていく。
まるであの頃のように―。
あの頃の僕はまだ、少年だった。
いや、精神的に子供だったのだろう。
年上の姉さんに恋をした。
とても綺麗で優しい…血のつながりのない義理の姉に。
シスコン気味にいつも姉さんと一緒にいた。
いつも姉さんは笑って微笑んでくれて、僕はそれだけでよかった。
でも、そんな楽しいことは永遠には続かない。
姉さんに恋人ができてから、僕と姉さんは会わなくなった。
僕は淡い恋をしていた。
きっと姉さんも僕と同じ気持ちだと信じて疑わなかった。
そばにいるだけで…
一緒にいるだけで…
よかったのに…
あの頃の僕。
最初に好きになった姉さん。
姉弟として、家族として…
多分、一人の女性として。
そして、二人は僕の世界から消えていった。
姉さんは姉さんの世界に…恋人とともに行ってしまった。
最後に姉さんに会った日も、青く澄んだ空に白い雲が流れていた。
僕は知った。
恋だったけど、本当の恋じゃなかったということに…。
それでも。
淡い恋をした自分がいた。
年上の義理の姉さんに恋をした自分がいたのだ。
そして…今でも淡い恋の続きをしているのだろう。
好きになった恋人が…姉さんと同じ名前なのだから。
完